なぜ、そんなに旅に出るんですか。
これまで何度も、同じ質問を受けてきた。
仕事のためでもない。
現実逃避でもない。
特別な目的が毎回あるわけでもない。
それでも俺は、毎年必ず旅に出る。
理由は一つだ。
旅に出ないと、自分の人生がズレていることに気づけなくなるから。
日常は、静かに人を慣らしていく。
忙しさ、役割、責任。
気づけば「選んでいるつもり」で、同じ判断を繰り返している。
旅は、そのズレを強制的に浮かび上がらせる。
だから俺は、毎年旅に出続けている。
旅は、人生を前に進めるためのものじゃない
まず、はっきりさせておきたいことがある。
俺にとって旅は、人生を前に進めるためのものじゃない。
むしろ逆だ。
旅は、人生をいったん止めるための行為だ。
世の中では、
「前に進め」「成長しろ」「止まるな」
という言葉が溢れている。
でも、進み続けることが正解とは限らない。
進む方向がズレていたら、
その努力は、ただ遠回りになる。
旅は、変化を起こすためのものじゃない。
今いる場所と、進もうとしている方向を
確認するための時間だと、俺は思っている。
日常は、知らないうちに「ズレ」を生む
日常は便利だ。
同じ時間に起き、同じ場所へ行き、同じ役割を果たす。
考えなくても回る仕組みができている。
でもその便利さが、
人生のズレを見えなくする。
違和感があっても、
「忙しいから」「今はそういう時期だから」
と、自分に言い聞かせてやり過ごす。
その積み重ねが、
「こんなはずじゃなかった」
という感覚を生む。
旅に出ると、その誤魔化しが効かなくなる。
場所が変わり、景色が変わり、空気が変わる。
すると、不思議なほど思考が静かになる。
そして、こう思う。
あれ、俺は何を急いでいたんだろうと。
俺の体験:旅に出るたび、同じ問いに戻る
旅先で、俺はいつも同じことをしている。
特別な観光地を回るわけでもない。
予定を詰め込むこともしない。
朝、少し遅めに起きて、
近くを歩き、
カフェに入り、
ただ外を眺める。
そのとき、不思議と浮かんでくる問いがある。
「俺は、今の生き方を本当に選んでいるか?」
忙しい日常では、
「選んでいるつもり」で、
実は流されていることが多い。
旅先では、その違いがはっきりする。
誰にも急かされない時間の中で、
自分の感情が正直になる。
これは反省会でも、自己否定でもない。
ただ、現在地を確認しているだけだ。
旅が、日常の判断を変えていく
旅の効果は、旅先だけで終わらない。
むしろ本番は、日常に戻ってからだ。
旅先で感じた
・違和感
・心地よさ
・静けさ
それらが、
仕事の判断や、人との距離感に影響し始める。
「本当にこれはやるべきか」
「これは惰性じゃないか」
「俺は今、無理をしていないか」
旅で整えた感覚が、
日常の中でブレーキや舵取りの役割を果たす。
だから俺は、
忙しいときほど、旅が必要だと思っている。
旅に出続ける理由は、たった一つの問い
なぜ俺は、毎年旅に出続けるのか。
答えは、どんどんシンプルになってきた。
人生がズレていないかを、確認するため。
旅は、人生を劇的に変えてくれない。
でも、静かに修正してくれる。
もし今、
理由のない焦りを感じているなら、
頑張っているのに手応えがないなら、
選択に自信が持てなくなっているなら、
それは能力の問題じゃないかもしれない。
ただ、環境が固定されすぎているだけだ。
次に動く前に、
一度立ち止まるという選択肢を、
どれくらい本気で考えているだろうか。
